ベトナムのテト
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日本語 / Japanese
今この時期はベトナムのあらゆるところで、「テト」の雰囲気が感じられます。伝統的な風習は、時間が経つと消えてしまうものも多いですが、「テト」は現代まで大事に受け継がれている、ベトナムの「魂」。古い記憶を忘れ、新年への新しい夢が始まる大切な時です。
ベトナムの地域は、北部、中部、南部の3つに分かれていて、それぞれの地域で「テト」を迎える習慣が異なります。
北部
北部は多くの高山に囲まれた、とても寒い地域で、その寒さが厳しいほど、「テト」の雰囲気がはっきりと感じられます。そして家の庭の赤い桃の木は、その雰囲気をより盛り上げてくれる、なくてはならないものです。
北部で「テト」のシンボルとなっている桃の木
「テト」には、祖先へのお供え物を準備しますが、それには北部の精巧かつユニークな食文化が表現されています。おせち料理には、中部フエの和え物料理や南部の梅やココナッツはありませんが、寒い地域に向いている料理が並びます。代表的なものは、コールラビやニンジン、もやしの入ったス―プ、じゃがいも、鶏の丸焼き、giò(ハム)、茹でた鶏肉、蒸し魚などです。そしてピクルス、玉ねぎ、Banh Chung(バインチュン)というベトナムのちまきも不可欠です。
そして、旧暦の大晦日の夜のお供え物は、花と果物、豚の頭、茹でた鶏肉です。また幸運と平和を願い、cau trầu rượu (キンマのヤシ酒)を準備します。
伝統的なお供え物
テトの市場はとてもにぎやかで、様々な商品が揃います。特にお供え物には、バナナ、グレープフルーツ、桃、柿、蜜柑の5つの果物は必需品で、祖先への尊敬を表します。また、北部の人々は体面を重視し、家へ客を招くことを好む傾向があります。祭壇を見て、その家の招待客への接待が素晴らしいかどうか判断されるので、たくさんの果物や高級なお酒を供え、美しく飾り付けます。
そして北部では、「テト」に縁起が悪いとされるものがたくさんあります。例えば、運が良くない絵をかけてはいけない、幸せの象徴であるとされている水と火を、他人にあげてはいけない、そして新年最初に家に入る人がその一年の運を決めると言われているため、家の主人と干支が合わない人は訪ねてはいけません。また皿を壊すなどの行為もしてはいけないとされています。
中部
中部は強い日差し、美しいビーチ、塩田、そして伝統的な曲で知られています。美しく見事な風景だけでなく、色濃く残っているテトの伝統的な習慣も人々を魅了します。
最も厳しい気候である中部地方には、北南部に比べて貧しい人が多いので、おせち料理には簡単な料理を準備します。しかし作り方は結構複雑です。 必ず出てくる料理は、もち米で作った皮で豚肉、緑豆を包み、lá dong(ラドン)の葉でくるんだ、bánh tét(バンテット)と豚肉料理。豚肉の酢漬けは、薄く切って甘いピクルスを添えます。そしてエビチリも不可欠な料理です。
材料は簡素だが、手の込んだ料理
北部では鯉を供える習慣があるように、中部では代わりに金魚を供えます。これは、鯉が流れの急な川を登りきると竜になるという「登竜門」という伝説に基づいたもので、立身出世の願いが込められた伝統的な習慣です。
中部でも「テト」の通りはとても賑やか。旧暦の大晦日の夜のお供え物を準備して、家族で親族宅を回り、一緒に新年を迎えます。上品で甘いものが好きな中部人にとって欠かせないのが、ベトナム風ジャム、フルーツ、もち米と紅茶。これらは祭壇に供えられ、訪問客にも振る舞われます。
中部の「テト」は、北部ほど儀礼を重んじず、料理も多岐に渡ります。この新しくユニークな習慣は、ベトナムの「テト」を多様にしています。
南部
南部の「テト」のシンボル、梅の花
テトの時期、北部は寒いですが、南部は自然に恵まれた暖かい気候なので、充足したテトを迎えます。南部のテトの花は暖かい日に照らされて、黄色に輝く梅です。優しくて温厚な人々の中で、最も特徴的なテトの祭が行われます。
南部には運河がたくさんあるので、水上交通が発展しています。河川は貿易取引の場となっていて、「Chợ nổi」(水上マーケット)と呼ばれています。特にテトには数多くの船が行き来し、商品の取引をする大きな声が飛び交っています。
川の市場
南部のテトにも5つの果物が必要ですが、バナナやオレンジを使う北部と違い、ブリッジプレート、ココナッツ、パパイヤ、マンゴー、イチジクです。そして祖先を敬うために、常に祭壇にスイカを2つ用意しなければなりません。
旧暦の23日には「Taoの神」を供えます。30日には祖先を迎えるためにたくさんの料理を準備しますが、牛肉とアヒルの卵、そして苦爪のスープが必要です。そして、新年3日は祖先を見送る日で、また大晦日と同じ料理を準備します。
また、お年寄りを敬う南部の人は、接待を重視します。
テトは北部の人にとって、親族を訪問し一緒にお祈りをする機会であるのに対し、南部の人は、旅行に行く家族が多いです。
また、南部のテトにも「タブー」が多く存在します。例えば、年末の夜は家族全員で出かけないと新年は大変なことが起こる、来客があると必ず主人が接待し、お腹がいっぱいでも料理に口を付けなければいけない。またほうきを無くしたら泥棒に入られる、テトには屋外を掃除をしないほうがいいなどです。
これら3つの地域は、「テト」の習慣がそれぞれ違いますが、共通点は幸せを願い、子供たちにお年玉をあげることです。現代の生活スタイルに合わせ、伝統的な儀礼は簡素化されていますが、それぞれの特徴的な習慣はまだ維持されています。それらは各地域のそして各民族の誇れる文化となっています。
この記事は、vn.jokerpiece.asiaが2015/2/13に公開したTết Việt Namを、日本語に翻訳したものです。
https://dict.comtor.jp/tet-viet-nam/
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