ベトナムでフランチャイズビジネスは成功するか?
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日本語 / Japanese
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FCはベトナムに向いているか?
そもそもベトナムの文化にフランチャイズは合うのだろうか?
この問いは、「現地の消費動向に適合しているか」「流通と運営が現地に適合しているか」に分けて考えることができるだろう。
消費者:向いている
チュングエン・コーヒー(Trung Nguyên coffee)はベトナムの高級コーヒーチェーンで、一杯6万ドンほどする。これは市井のカフェの5倍の価格である。日本でチェーン喫茶店の5倍の価格のコーヒーというと2000円ほどになり、高級ホテルの中にしかないだろう。そんなチェーン店が、市の中心部や外国人街だけではなく、市内のいたるところにある。外国人でも成金でも気取り屋でもない、ごく普通のおじさんや若者が利用している。
「なぜそのような高いコーヒー店に行くのか」とベトナム人の友人に聞いてみたところ、質問意図がなかなか伝わらなかった。「ハイクラスのコーヒーチェーンの中では比較的安いほうだ」や「味はいまいちだがスタバよりは良い」など。人間は当たり前の行為の意味は質問されても答えられない。時と場合によっては5倍の値段差のあるコーヒーを飲むことは、「当たり前の行為」なのであろう。
考えてみれば日本でだって、生ビールは安い店だと300円程度だが、1500円する店もざらにあり、同じ街の中で共存している。雰囲気や、いっしょに行く人が誰であるかや、どういう状況なのかによって、店を使い分けている。生ビールが1500円する店に入って、「隣の店で300円で売っている同じスーパードライが5倍もするなんておかしい! 詐欺だ! ぼったくりだ!」と騒ぐ客がいれば、その客がおかしい。それが文化というものだ。
ベトナムにおいては、モノそのものの価値よりも、そのモノに付随する雰囲気やコンテキストに価値を認めてお金を払う、という考え方が、少なくともカフェの利用では大衆レベルまで浸透しているらしい。ずいぶんと都会的な文化で、なぜこうなのか、いつからこうなのかは分からないが、フランチャイズとは相性の良い文化であるとは思う。なぜならフランチャイズは、こういった「モノに付随する雰囲気やコンテキスト」を、マニュアルとセントラルキッチンによっ
て規格化し量販するものであるからだ。
カフェ以外のサービス業においても同じ原則が通じるかは、まだ分からない。しかし、可能性はあると思う。
流通・運営:課題多し
ビジネスモデルとしてのフランチャイズの肝は、集中と分散である。
飲食ならセントラルキッチン、クリーニングなら工場というように、サプライを集中することで規模の利益を実現する。教育やマニュアルでサービスも集中させる。それに対して、資本や雇用などは分散し、現地の状況や価格に対応させる。
サプライの集中を実現するには、相応の能力のロジスティクスが必要であるが、残念ながらこれは貧弱であると言わざるをえない。詳しい状況は、SCMについてのこのブログの以前の記事で紹介したとおりである。
このブログの最初の記事で紹介したマクドナルドにしても、トマトとレタス以外の生鮮食品は全て海外からの調達であるという(細野恭平氏のブログによる)。
1日1万5000人が殺到するベトナムのマクドナルド(JB PRESS)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40147
生鮮食品でなかったとしても、ある程度の小口流通の密度が期待できるのは、大都市のみだ。SCMの記事を書くときに流通関係者に取材したが、その時に出てきたのは、
Just-In-Time的なロジスティクスはホーチミン、ハノイ、フエ、ダナン以外は無理
という台詞だった。これら以外の市場を汲み取るか捨てるかだが、そこがなくなってしまうのならば、せっかくの「成長する大市場」は、いささか色褪せる。
マクドナルドは、それでも威信をかけて、サプライの完全集中モデルを実現しようとしているようだ。前述の細野恭平氏のブログによると、数百人のスタッフを海外研修させたそうだ。教育サービスの集中といえるだろう。
それができるのならば、そこまで原則論を貫くのもひとつの戦略であるといえるが、多くのケースでは非現実的だろう。
集中と分散のバランスを、もうちょっと分散寄りにして、バランスのとれる場所を探っていくというアプローチが必要になると思う。
そのバランスを具体的に探っていくのは、経営者としてのマインドをもつフランチャイジーである。 賃労働者に形ばかりのインセンティブをつけた「みなし店長」ではなく、まさにオーナー経営者としてのアントレプレナーシップをもつ人が必要である。
しかし、そんな人はどこにいるのだろうか?
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