ベトナムにおけるクラウドソーシング(1) 概論
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ベトナムにおけるクラウドソーシングサービスを紹介していく。第1回は概略でクラウドソーシングそのものの説明し、ベトナムのメジャープレーヤを紹介する。
オフショア開発とクラウドソーシング
ここベトナムのIT業界は「オフショア開発」の会社が多い。ベトナムは人件費が安いので、コスト削減のためにベトナムでシステム開発を行うというものである。コストダウンと品質の向上を同時にはかれるという肯定的な意見もあるし、不健全な市場破壊という否定的な意見もある。良くも悪くもグローバル化と技術の進歩による必然だという意見もあれば、低品質やリスクを簿外に飛ばして改善の芽を摘んでいるだけだという意見もある。
どの意見に与するかは読者次第であるが、ここで似たような構造を持つ他の業態を紹介したい。クラウドソーシングである。
この世に登場したのはオフショア開発のほうが先だが、クラウドソーシングのほうが、より早く進化した。クラウドソーシングをみれば、オフショア開発の未来の姿が見える。
クラウドソーシングとソーシャルメディア
クラウドソーシングは源流が二つある。
一つはネットの理想主義。群衆の叡智を信じ、レバレッジとするものだ。もう一つは低廉なアウトソーシング。
クラウドソーシングが両側面を持ちながら誕生したのは、SNSと同時期であり、SNSが世界を変える救世主のように崇められたのと同じような扱いをされた。そして、SNSが暇つぶしツールになったのと同じように、クラウドソーシングも低廉なアウトソーシングという側面を強くしている。
しかし、それを堕落とか化けの皮が剥がれたというのは、酷というものだろう。
SNSと同じように、現実的で庶民的なツールへとこなれていったと捉えるべきだ。
なぜなら、労働も市場によって取引されるものなのだから、技術が進歩すれば市場のあり方も変わるし、市場は概ね正しいが常に正しいものではないのかから、現実に合わせて姿を変えていくのは、正しい進化と言えるからだ。
クラウドソーシングの4分類
2013年6月6日のForbs.comに掲載されたTeresa Meekの記事によると、現在のクラウドソーシングは4カテゴリに分類される。
Crowdsourcing: Great For Your Business (A Handy Primer)
http://www.forbes.com/sites/netapp/2013/06/06/crowdsourcing-for-business/
- マイクロタスク
- 簡単な仕事をアサインする。
- マクロタスク
- 複雑な業務の中の切り出しやすい部分を助けてもらう。
- コンテスト
- 個人に懸賞に応募してもらう。
- アイデア
- 複雑な問題に対する解決方法を、部外者から提示してもらう。
このカテゴリ分けの記事の探索及び翻訳に、この記事の日本語訳である木下慶氏のcroudinfo.comの記事を参考にいたしました。紹介して感謝いたします。
いま話題のクラウドソーシングを徹底解説
http://www.crowdinfo.jp/2013/06/09/crowdsourcing-primer/
古典的な意味のオフショア開発は、クラウドソーシングにおけるマイクロタスクというべきだろう。
帳票入力や、詳細設計までなされた単純なコーディングを、人件費の安い国に任せるというもの。
しかし実際は、そうそう簡単な仕事というのがあるわけではないし、技術環境の変化も要求の変化も早い。ゆえに、実質的にはマクロタスクに近くなっている。
この先は、コンテスト型やアイデア型が増えていくだろう。
ベトナム発のクラウドソーシングサービス
triip.me
https://www.triip.me
一部で有名なのは、startupのtriip.me
ある場所の写真を撮り、その場所の説明を書き、ガイドをするというもの。
これを、フリーランスの旅行ガイドのアピールにすぎず、低廉なアウトソーシングで市場を破壊するという言い方もできるし、かつてない形の旅のエクスペリエンスを応募・提示してもらうものだとも言える。
どちらだと考えるかは、評者次第。
Viet freelance
https://vietfreelance.vn/
オーソドックスなマイクロタスク型のクラウドソーシング・プラットフォーム。登録しているフリーランサーは2500人ほど。日本のLancersや世界最大のoDeskに比べるとかなり小規模だ。
50k
http://50k.itcenter.vn/
クラウドソーシングは、コンセプトを平坦に言えば、労働力の電子市場である。労働力だって売買可能なものの一つに過ぎないのだから、eCommerceの一種であると言える。ただ、労働力のセリ市というのは人間の尊厳的に受け入れ難いところがあり、それがクラウドソーシングの輪郭を薄ぼんやりとしたものにしている。
50kは、マーケットプレイスという本来的なコンセプトを、露骨に表現したクラウドソーシング・プラットフォームである。
クラウドソーシングは国境で区切れるのか?
今までの常識で言うと、ベトナムのクラウドソーシング・プラットフォームというと、Viet freelanceということになるだろう。しかし、実際にそれが正しいのかは、現状でははっきりと言えない。なぜならば、もし私がベトナムのfreelancerならば、なにも国内の発注先を探さなくても、oDeskを始めとするドルや円で支払われる仕事を探すだろうからだ。こうなるともはやオフショア開発と区別がつかなくなってくる。
今回の記事では概略という事でここまで。次回以降、詳細テーマについて深堀していきたいと思う。
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